夕食の後、洗い物をしながら何度も切り出そうとした。「あのさ、実は」まで言葉にしかけて、リビングでテレビを見ている妻の横顔を見た瞬間、また飲み込んでしまう。
転職サイトを開いて気になる求人を保存する夜が続き、面接の予定も少しずつ埋まってきているのに、家では一言も話せていない。
先週、思い切って話した。「実は転職活動してて、来月には決めたいと思ってる」。返ってきたのは、思っていたより硬い声だった。
「え、今から?何も聞いてなかったんだけど」。反対という言葉こそ出なかったが、その日から家の中の空気が少し重い。
反対の中身は、思っているより具体的です
「分かってもらえなかった」「愛情がないのかもしれない」、そんなふうに受け取ってしまいそうになる。でも、配偶者から転職を反対された人へのアンケートを見ると、理由の中身はもっと具体的です。
実際に家族に反対された人にその理由を聞いた調査でも、一番多かったのは年収が下がることでした。次に多かったのが、勤務地や引っ越しに関わる話。
反対の本丸は感情ではなく、年収と勤務地に集まっています。
分かってもらえない、という話ではなく、家計と暮らしがこのまま保てるかどうか、というごく現実的な心配ということです。
決めてから話すと、反対ではなく不信感になります
一人で転職活動を進めて、ある程度話が固まってから伝える。効率だけを考えるとそのほうが早いが、家族に対しては逆効果になりやすい。
「会社を辞めることにした」と、決めた後になって初めて聞かされた配偶者は、転職そのものより先に、黙って進めていたことに傷つきます。
「なんで一人で決めたの」「私には関係ないってこと?」。話の中心が、条件や年収の話から、信頼の話にすり替わっていく。
一度こうなると、後から条件を整えて説明し直しても、なかなか元には戻りません。
計画を先に見せると、反対ではなく協力になります
決める前に、考えている中身を先に見せておく人もいます。
「仕事自体は嫌いじゃないけど、この先を考えると、もう少し条件のいい環境を選びたいと思ってる」。転職サイトに登録したことや、どんな条件で探しているかまで、決定より前の段階で共有する。
そうやって伝えた相手から、「一緒に頑張ろうね」という言葉が返ってきた人もいます。
反対する理由が消えるとは限らないが、決定事項を突きつけられるのと、相談を持ちかけられるのとでは、受け取り方がまるで違います。
話す前に、条件はある程度固めておいたほうがいい
「転職を考えている」というふわっとした話だけでは、相手も何を心配していいか分からず、不安だけが膨らみます。
年収はどのくらいの幅で考えているか、勤務地は変わるのか、いつ頃までに決めたいのか。ここまで固めてから話すと、相手も一緒に考えやすくなります。
条件を固めるのは、一人では難しいです
年収の相場も、勤務地を変えた場合にどれだけ求人があるかも、社内からは見えにくい情報です。何となくの感覚で「たぶんこのくらい」と伝えてしまうと、後で条件が崩れて、また話し合いからやり直しになる。
転職エージェントに聞けば、今の経験やスキルで狙える年収のレンジや、希望する勤務地にどんな求人が実際にあるかを教えてもらえます。
感覚ではなく、根拠のある数字を持って話せるようになる。家族に説明するときの言葉にも、重みが出てきます。
条件が固まり、求人を紹介してもらえるようになると、その先には面接が待っています。面接まで進んでも、一人で挑む必要はありません。
仕事の経験があるほど「自分の言葉で話せば伝わる」と思いがちで、面接の練習をないがしろにする方が非常に多いそう。
評価項目に沿って判断される面接で、この慢心が不採用の隠れた大きな要因になっています。
面接対策は、職務経歴書等の書類よりも、軽視されてしまう傾向がありますが、初めて会う面接官にしっかり伝わるように準備して強みに変えてしまいましょう。
大事なのは、自分に合うサポートをしてくれる転職エージェントに出会うことです。まずは簡単に診断してみましょう。
条件を固めてから切り出せば、あの日感じた家の重い空気も、きっと違う形になるはずです。伝える中身より先に、伝えるタイミングを整えておく。それだけで、反対は協力に変わります。
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